LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン

最終回 現代が問いかける森林の役割 -生態系サービスと森林美学-

経済林を対象に生み出された森林美学の目指す内容を、現代風に述べると、森林の持つ生態系 サービス(基盤;生産、調節、文化)に関する持続可能な開発目標を進めることである。創始者 のザーリッシュは生態学の体系ができる前に、生命群集としての森林の構造と機能(=生態系) を理解していた。そして、森林の持つ各種機能のなかで、人間にとって役立つものを持続的に 利用し続ける指針を提示した。生態系サービスが発揮されるためには、一次生産者である森林 植物の変動環境での持続的生産と土壌の保全が必須である。施業としては、適地適木、混交林化、 諸害耐性付与、生産基盤(=林道)の整備を進める必要がある。この中に生物多様性保全の視点 は不可欠である。高機能を備えた林分を各々の要素(パッチ)として “緑の回廊” を設け連結する ことで地域生態系(マトリクス)を持続的に利用できる。これらを維持・増進するためには、現 在の経済林の機能劣化を修復するために資金投入が必要だが、この周知のためにも森林教育を 推進する必要がある。

森林美学

A5 判/並製

本文:331 頁

定価:4,000 円+税

発行:海青社(2018年6月1日(初版第1刷))

はじめに

歴史をみると、イースター島の例に顕著であるが、森林の持続的 利用を損なった文明、民族は滅びる。ローマの歴史家タキトゥスが 著した物語・ゲルマニアの中で、森林を

You’re reading a preview, subscribe to read more.

More from LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン

LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン1 min read
瓦-kawara-ブロック
サスティナブルな社会を目指して屋根材が床材として生まれ変わる。 リサイクル製品 ショットブラスト 非透水製品 ●リサイクル骨材の廃瓦は色やサイズ、密度など製品によってばらつきがあります。 ●地の色はセメント顔料によって調節していますが、廃瓦の粉の混入によって色の差異があります。 ●コンクリート部と廃瓦部で表面の硬さの違うので、ショットブラスト仕上げによる表面の凹凸があります。 粘土瓦は全国で年間約2億枚の生産量がある。その中で瓦廃材は年間100~200万トンほど排出されているが、瓦のリサイクル率
LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン1 min read
体感できる禅、スピリチュアルランドスケープ『大本山永平寺』
「大本山永平寺」や禅の文化は、本町はもとより、本県を代表する歴史的・文化的景観であり、国内外に強く発信することが必要です。 大本山永平寺が進めている禅の里事業を支援し、禅文化の国際的影響の大きさを理解しながら、「禅」を前面に打ち出した観光パンフレットやホームページのリニューアル等を行います。 また、道元禅師ゆかりの地である「吉峰寺」にもフォーカスすることで、スピリチュアルな周遊観光コースの設定や、登山道「祖跡巡拝山岳コース」などの整備修景・PRにより、全町的な周遊観光の促進を図ります。 門前エリ
LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン1 min read
Landscape Designバックナンバーのご案内
定期購読のご案内 年間定期購読料(6冊) 13,000 円(税込) ここがお得! 定期購読 1.割引価格でご提供いたします 定期購読なら1冊あたりの単価は2,167円。 年間で800円お得です。 2.送料無料で、ご希望の住所までお届けいたします 定期購読中は発売日に合わせ、弊社より雑誌をお送りします。 もちろん送料は無料です。 ★購読満了の際にはご案内いたします。※中止の場合はご連絡くださいますようお願いします。 ★銀行振込をご利用の方は、ご一報いただいた上、右記口座へお振込ください。 三菱UF