公園再生の成功事例として日本でも有名なブライアント・パークは、ニューヨークの中心部にある面積3.9haの市立公園である。1970年代に は一般の人が近寄りがたい公園となっていたが、この状況を改善するために1980年にニューヨーク市と周辺のビルオーナーによってブライ アント・パーク・リストレーション・コーポレーション(BPRC)が設立され、公園の再生に取り組み、1992年には公園が改修された。そして後述 するような公園管理運営を行ってきた結果、年間1200万人が訪れる公園として生まれ変わった。BPRCは2006年にブライアント・パーク・ コーポレーション(BPC)と改称し現在に至っている。公園再生の成功事例であるBPCについて、BPCにヒアリングした内容をもとに報告する。
ブライアント・パークのBID
この公園の運営は、BID(Business Improvement District)の成功事例である ことでも有名である。海外では、業務・商業 エリアの不動産所有者や事業者の合意のも と、行政が、清掃・防犯・商業振興・賑わい創 出活動に必要な資金を、関係者から強制的 に徴収し、それらの活動を行うエリアマネジメ ント活動団体(BID団体)に交付する仕組み である。この仕組みの特徴は、行政とBID 団体の役割分担にある。BID団体は基礎 的な行政サービスを行政の代わりに行うので はなく、エリアの価値を高めるグレードアップ サービスを行うという考え方である。そのため 活動資金は税金とは切り離した賦課金、もし くは上乗せ課税として徴収され、BID団体 に交付される。これは二重課税ではなく、エ リアの関係者が納得して資金を出し合い、 協力して街を育てていくための制度であると 言われている(※ 1)。The New York