明治神宮1920+100
Aug 25, 2020
1 minute
文・画像提供/江尻 晴美(樹木医事務所桔梗 代表)
小林 邦隆(一般財団法人日本緑化センター 副主任研究員)
小堀 貴子(東京大学 特別研究員)
2020年に鎮座百年を迎える明治神宮は、日本の近代ランド スケープ発祥の地とも呼ばれる場所です。連載2回目である本 稿では、管理の視点をもとに明治神宮のランドスケープ100 年の歩みを振り返っていきましょう。
本郷高徳がまとめた「明治神宮御境内林苑計画」(以下、 林苑計画書)では、林苑を、人が立ち入ることのできない「森」 である「一般の林苑」と、人の往来が可能な「その他の林苑」 に分けて、その取扱いが異なると述べています。そこで本稿で は森と人に着目し、「森」と「人の往来が可能な空間」におけ る樹木に関わる課題と対策、利用と管理体制について紹介しま す。これまでの100年の間にどのような変化があったのか、また それに対して管理をどのように対応させたのかを考えます。
考え抜かれた3つの布石 ―「手つかずの自然」ではなかった 森の管理―
『林苑計画書』では、図1 の林相の予想図の ように、造成当初のマツ類等の針葉樹主体の森 から、100 年かけてシイ・カシ・クス類の常緑広 葉樹主体の森へ移行させることを考えました。現 在の森は高さ20mを超え、当初の常緑広葉樹 林をつくるという計画をほぼ達成したと言えます。
この予想は造園関係の専門書のほか、一般 の書籍やテレビ等の様々なメディアにも紹介さ れているため、多くの方に知られています。その 中では、当初の植栽のあり方が、成功した鍵と 見られています。ですが『林苑計画書』を読 み解くと、当初の植栽に加え、森の管理につい ても、森づくりを成功させるための布石が見られ
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