LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン

12 国際文化会館の庭園を見る

協力 = 公益財団法人国際文化会館

梅雨があがりそうな微妙な時季に、 港区六本木の国際文化会館を訪ねた 。 日本庭園の見学は樹木が落葉し 、 見通しの良い時期が鑑賞日に相応し いので 、 今回冬と夏の2 回に分けて訪ねた 。

この地は江戸時代に丸亀の多度津藩 、 京極家の江戸藩邸があったところ 。 明治の世になると所有者が次々と変わり 、 昭和 4 年 、 海外の賓客を招く 為に岩崎小弥太によって「和風迎賓館」が作られた 。 建築は大江新太郎 、 庭園は植治こと七代目小川治兵衛 、 当代一流の組み合わせであったが 、 昭和の空襲で焼失し 、 戦後三菱財閥も解体されて土地は政府に物納された 。

しかし昭 和 30 年にロックフェラー財団の後押しで国際交流の拠点 、「国際文化会館」として甦った 。この建築は当時最高の建築家、 前川國男 、 坂倉 準三 、 吉村順三の3 人が共同して設計し 、その年の建築学会賞を受賞した 。その際 、 京都の植治を離れ東京で岩城造園を立ち上げ活動していた岩 城恒太郎が工事に立ち会い 、 植治の作った当初の庭園は一部保全された 。

国際文化会館

視点場 見せ場 動線 国際文化会館の庭園ならびに敷地は、 江戸時代から 平 幕末にかけて多度津藩 地ゾーン (現香川県) 藩主京極壱岐守の 池ゾーン 江戸屋敷であったが、 明治初期に井上馨候爵 (外務大 山ゾーン 臣) の所有となった。その後、 久邇宮邸 、 赤星鉄馬邸 、 屋 上ゾーン 岩崎小彌太邸と変遷し、 戦後国有地となっていたも のを国際文化会館が払い下げを受け今日に到ってい る。1955 年 (昭和 30 年) に日本建築界の巨匠、 前川國 男 、 坂倉準三 、 吉村順三の三氏の共同設計により現在 の旧館部分が完成した。1976 年 (昭和 51 年) には前 川國男氏の設計により旧館の改修と新館の増築が 竣工 。 日本建築学会賞を受賞した本館は、2006 年 8 月に文化庁が指定する「登録有形文化財」に登録され た。 現在の庭園は、 昭和 5 年岩崎小彌太が我が国屈指 の京都の名造園家「植治 (うえじ)」こと7 代目小川治 兵衛に作庭を依頼したもので、 桃山時代あるいは江 戸初期の名残りを留めている近代庭園の傑作として 知られている。 庭園は2005 年 10 月に港区の名勝に指 定された。

【問合せ】

公益財団法人国際文化会館 tel.03-3470-4611(代)

https://www.i-house.or.jp

植治が作庭した「和風迎賓館」

和から洋 への 場 面 転 換

故 事 来 歴を記した 所 で 入 口に 到 達した。 鳥居坂に面した造成部は小松石の野面で きっちりと 積 み 、 ゲ ートか ら 入 っ た 所 は 大 振 りな 自然 石の石 積と植 栽 が出 迎えてくれた 。この 大 振りな石 積 は 和 風 迎 賓 館 であったか

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